YAMAHA YFL-517とYFL-312の違いを比較。初心者のくせに検証してみる。
2022年03月16日 12時00分 月齢:13.8[待宵月] 潮汐:大潮
(最終更新日:2022年03月25日)
3年前に投稿 | フルート | コメントはありません
4分ぐらいで読めます。
YAMAHAのフルートYFL-517とYFL-312、説明の文字だけ見ると全然違いがありません。
- C調
- C足部管
- オフセットカバードキー
- Eメカニズム
- 頭部管:銀製・銀メッキ
- 管体:白銅・銀メッキ
- キー:洋銀・銀メッキ
- 引き上げトーンホール
価格は定価でYFL-517が264,000円、YFL-312が148,500円です。1.8倍、この10万円以上の差は、いったいどこにあるのでしょうか。
これがたとえば自動車だったりパソコンだったりすると、パワーやCPUのクロック数の違いのように数値で表せるんですが、楽器にはそういう数値的なものがないんですよね。果たして、何がちがうのか。それを初心者視点で検証してみましょう。
まず、音の出方や吹奏感は全然違います。
これを未経験者に伝えようとすると、なんていうか、YFL-312が50ccのスーパーカブだとするとYFL-517は90ccっていう感じかなー。スーパーカブじゃない例えなら、1300ccの自動車から2000ccの自動車に乗り換えたようなイメージ。同じスピードを出すのにエンジン音や車の挙動・安定性が違うっていえば理解してもらいやすいかなぁ。
YFL-312は、あぐらをかいてぼんやりしながら口笛がわりにピョーと吹いても鳴りやすい。YFL-517は、吹くゾっという気持ちでちゃんと息を送らないと鳴ってくれないけれど、きちんと吹けばそれに応えてくれるのです。
それでは、楽器そのものの違いを見てみましょう。
パッと見では、色も部品の構成も同じなのだから同じようにしか見えないですね。でもよく見ると、トーンホールのピッチが微妙に異なります。キーもよく似ているけれど同じパーツではありません。
実際に吹いてみると、YFL-312のほうがカチャカチャしたキーの感触があります。YFL-517はしっとりしていて、速くキーを動かしてもカチャカチャしないんです。
次に、フルートのエンジンともいえる頭部管の歌口を比べてみます。まずはYFL-312の歌口。前後方向に幅がありますね。
YFL-517の歌口。前後方向はYFL-312よりも狭いのですが横方向の幅が広く、内部のカットが複雑になっています。
角度を変えて見てみましょう。
YFL-312の歌口。
YFL-517の歌口。
どうでしょ。材質は同じ銀でも、穴の形状で大きく音が変わるなんて不思議ですね。
キーの形状は似ているようで異なるのですが、とくにレバーの形状は大きく異なります。ブリチャルディキーを比べてみましょう。
YFL-312のブリチャルディキー・Bキーのあたり。
YFL-517のブリチャルディキー。
形は全然違うけれど、どちらも操作に違和感はありません。
細かい部分では、こんなところが違います。D♯レバー裏の緩衝材。YFL-312は樹脂製。
YFL-517はコルクでできています。
押さえていることが多いレバーですが、樹脂とコルクどっちのほうが耐久性があるのかな。高級感ではコルクのほうが上。こういう演出も大事なところ。
そして…自分の中で決定的に違うなと思った箇所がAisレバー。YFL-312のAisレバーはFキーとF♯キーの間にある感じ。
YFL-517のAisレバーはF♯キーの上にがっつりと被さっています。FキーからAisレバーまでの距離を測ってみると、YFL-312とYFL-517では3~4mmくらい差があるんです。これが遠くて…。AisレバーはYFL-312のほうが押さえやすいと思います(今のところ)。
慣れれば平気かもしれないですけどね。自動車だって車種ごとにペダルの位置が異なるけれど、しばらく運転していたら慣れるから。うん?慣れるのかな…
最後に実験として、YFL-517の頭部管をYFL-312に付けたらどうなるのか、やってみました。…結果、1300ccの自動車に2000ccのエンジンを載せたような、パワフルだけどボディーや足回りが負けている、そんな印象でしたー。
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