大量のフッ化水素酸。

2013年06月01日 18時00分 正午の月齢:22.5  月名:弓張月(下弦)  潮汐:小潮 月齢:22.5[弓張月(下弦)] 潮汐:小潮
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先日の朝、タンクコンテナを載せたトラックを見ました。いつも「何を運んでいるのかな」と品名を見てしまうんだけど、よーく見たところ「無水フッ化水素酸」の表示が。コンテナの端にはドクロマークが書かれているし。

あの、フッ化水素酸がこんなに大量にあるなんて…。何だかコワいよー。

なぜ「あの」なのかと言えば2つの事件。

1982年4月20日午後3時40分頃。八王子市内の歯科医院で、同院の院長(当時69歳)がう蝕予防用のフッ化ナトリウムのラベルがある合成樹脂製小瓶の液体を脱脂綿にしみこませ、市内に住む3歳の女児の歯に塗布したところ、辛いと訴えた。フッ化ナトリウムは本来無味である。女児の母親と同院の助手の女性が女児の体を押さえつけ、さらに液体を塗布したが、女児は診察台から転がり落ちて苦しがり、口からは白煙が上がった。救急車で近所の医院に搬送され、症状が重篤であるため東京医科大学八王子医療センターに転送されたが、同日午後6時5分、急性薬物中毒のため死亡した。翌日、女児の通夜の席で、歯科医師は脳血栓の発作を起こし倒れた。

八王子市歯科医師フッ化水素酸誤塗布事故

と、もうひとつ。

静岡県警捜査1課と御殿場署は2013年3月28日、12年12月に猛毒の薬品・フッ化水素酸(フッ酸)を同僚の40代女性の靴の中に塗り、殺害しようとしたとして、山梨県山中湖村の会社員の男性(40)を殺人未遂の疑いで逮捕した。女性は現在、退院しているが、左足の指の先端部分5本が壊疽(えそ)して切断、全治3か月の重傷を負った。各種報道をまとめると、容疑者と女性が勤務する会社は、カーボンメーカーの研究所。同社ではフッ酸を実験用測定装置についた薬品の洗浄に使っていて、容疑者がこの管理を担当していた。被害にあった女性は職場で勤務する際、靴を履き替えて仕事をしていた。退社時、薬が塗られていることに気付かず履き替えたが、帰宅途中で足に違和感があったため病院に駆け込んだ。そして、診察した病院側が県警に通報した。容疑者は、女性が別の靴を履いて仕事をしている間に薬品を塗ったとみられるが、「身に覚えがない」と否認しているという。容疑者は以前女性に交際を申し込み、断られて以降はストーカーのようになっていたという話も出ている。

女性の足指、5本切断「フッ化水素酸」肌、骨溶かし、死亡にまで至る猛毒

化学をかじったことのある人の話では、塩酸や硫酸よりも恐ろしいとか。

フッ化水素酸の恐ろしさは、少しでも皮膚につくと容易に浸透し、組織内部を冒してしまうことにあります。フッ化物イオンはカルシウムと結合して結晶になりやすく、このため低カルシウム血症を引き起こします。析出する結晶によって激痛が走りますし、量や濃度によっては骨まで破壊されます。痛みは時間をおいて発症するそうで、被害者が気づくのが遅れたのもそれかもしれません。前述のようにガラスも溶かされるので、通常のピペットなどを使うとすぐ破れてしまうのも事故につながりやすい点です。

フッ化水素酸による殺人未遂事件

そんなわけで、フッ化水素酸の文字を見ると、とてつもなく怖いのでした。

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