次はレール側の加工。LANケーブルからの電流を複々線のレールに「いかにカッコよく供給できるか」に挑みます。…いやそんな大したことはしませんケド。
固定式レイアウトであれば、躊躇なく配線をボードの下に通してやればそれで終わりなのですが、今回はお座敷レイアウトを想定しているのでそれなりの見栄えにしたいなと考えています。そんなわけで当初の構想どおり、RJ45ジャックはコンテナの中に入ってもらうことにします。
まずは端子の配線。はんだ付けしたら、奇数番端子に気休めの熱収縮チューブを。
LANケーブルを自作するときは、いつもB結線(T568B)でやっています。1番ピンから順に「橙白・橙・緑白・青・青白・緑・茶白・茶」っていうやつです。LANケーブルのB結線って「緑白・青・青白・緑」というふうに緑のペアが別れるんですよね。先日加工が終わったパワーパック側の配線は、左から順に第1回路とすると、第1回路=橙白・橙、第2回路=青白・青、第3回路=緑白・緑、第4回路=茶白・茶とそれぞれの色のペアを割り当てています。そのためこっち側もこの段階で「橙白・橙・青白・青・緑白・緑・茶白・茶」と、コンテナから引き出す前に緑ペアと青ペアを入れ替えておきます。
コンテナを加工してコネクタを引き出す穴をあけ、こてこてにウェザリングして、端子をコンテナにはめ込み、瞬間接着剤で固定しました。ホイミスライムっていうか、色的にベホイミスライムの誕生です。
空間にゆとりのあるパワーパック内部においては問題にならないのですが、狭いコンテナ内部&固い電線でこのペアを揃えて引き出すのはギリギリな感じでした。それぞれのペアがバラバラにならないようにマスキングテープで束ねています。でも情景溶け込み感はかなりありそうですよ。
底面はこんな感じ。実にフラットに、堅牢性高めに仕上がりました。
それではLANケーブルを差してみましょう。
レイアウトの情景小物とITデバイスのミスマッチ感が面白いですが、カチッと小気味良く差さってくれました。
引き続きレール側の加工を進めていきましょう。
線路側とパワーパック、どちらを先にやろうかなと思いましたが、線路側のほうが楽しそうなので後回しにして、まずはパワーパックを改造しちゃいます。
ケースをあけて、確認してみると…この隙間しかなさそう。パッと見たところ「そんな大きいの、絶対ムリ。入らないよっ!」てほどでもないけれど、入るかな…
おっ、縦置きだと普通に、横置きでもギチギチに押し込めば入りましたよ。手で支えなくても落ちないくらいのキツさで。
パワーパック内の配線は色分けした方がカッコイイかな(どうせ外からは見えないけど)と思って、LANケーブルをほぐしたものを用意してみました。ペアごとに撚りピッチが異なり、茶→橙→青→緑とだんだん撚りが強くなっています。考えた人エライ。
この撚りを戻してみたけれど…しかしこれは固い、固すぎる。まるで針金。いやまるでというか、被服の下は単線の銅線なので、正真正銘の被服付き針金。今回は使えません。
いつもの線を使うことにして、ケースを加工していきます。3mm→6mm→8mm→10mmと、少しずつドリルの径を大きくしていき、あとはやすりでギコギコ。
次は端子側の加工。電線をはんだ付けしていきます。ホイミスライムのできあがり。
ホイミスライムをケースの内側にはめこみ、2液性のエポキシ接着剤で周囲を固めて接着。表側からは瞬間接着剤を流し込んで化学的に固定してやりました。接着剤が固まったらRCA端子にはんだ付けしていきます。全部が黄色の線だから、慎重に…
アルミの粉をエアブローで飛ばして、おかしな配線をしていないかテスターで確認。LANケーブルをほぐしたときの副産物、LANバクテリオファージ(?)を使って、1本1本導通確認していきます。
後付けだからここしか場所がなかったという理由はあるけれど、ユーザーインターフェイス的にはあまりよろしくないですね。電源プラグを差していると、LANケーブルの爪を押しにくい(押せないことはない)のです。まぁそれでもこの1本のLANケーブルで4系統の出力ができるというのはなかなかオシャレな気がしますよ。
自動加減速パワーパックの背面と比較すると、こんなに雰囲気・複雑さが異なります。
例えるなら…
自動加減速パワーパックが男の股間、4系統パワーパックが女の股間。いやぁホント下品な例えだと我ながら思う。思うけれど、このゴチャゴチャした端子を見たりいじったりしていると書かずにいられなかったのでした。ホント最低ですネ。
先日購入した「LANジャックDIP化キット」は、さすがに使い勝手が悪すぎる…
ので、もう一度買いなおしました。2種類を試してみます。
1つ目は、金属製のシールドが付いた、
先日買った基板付きのものよりも上下方向と奥行きの寸法が短く、応用がききそう。
2つ目はプラスチック製の、
側面の肉厚が金属製のものより薄く、逆に奥行きは金属製のものより長いのが特徴です。
サイズを比較すると、こんな感じになりました。
さて、線路わきにポロンと端子を転がしておいてもそれはそれでかまわないのですが、どうせならこの端子さえも情景に溶け込ませたいなと思い、ちょっと実験してみますね。
金属製の端子は、こんな感じでコンテナをかぶせることができます。
高さも十分にコンテナの中に納まりました。電線の処理だけなんとかすればいいですね。
プラスチック製の端子は、コンテナの前後方向でかぶせることができます。奥行き方向の長さの関係で、コンテナを左右方向にすることはできません。
こちらも、高さも十分にコンテナの中に納まりました。
ジャックからの足の生え方が金属製のものとは異なり、端子の上側(プラグの爪がある側)に電線をつけなければならないので、コンテナ内での電線の取り回しがちょっと複雑になる反面、コンテナ底部はツルンと仕上がります。
この2つを使って、パワーパックと線路側にRJ45 LANジャックをどうにかして実装していきましょう。
レールに電源を供給するのは、フィーダーではなく、いつも電線をレールに直接はんだ付けしています。
複々線用に、新たにストレートレールS140に電線をつないでみたのですが、お座敷レイアウトだとさすがに電線がごちゃごちゃしてうっとおしいなぁ。線路からパワーパックまでの距離が伸びるほどに電線の主張が激しそう。それにレールの下に隣のレールから生えている電線を何本もくぐらせないといけないこともあって、そこだけレール面がぼこぼこするのでレイアウト的にもちょっとブサイク。
そんなわけで、LANケーブルを使ってみようと思います。8芯だから複々線の配線には最適。距離が長くなってもケーブル1本で済むのはメリットが大きそう。けどあまりそのテの話を聞かないなぁ。
かと言って、まったく先人がいないわけでもないみたい。
というわけで、技術的にはどうなのか調べてみました。
- LANケーブルの芯線は、約0.5mm径なので断面積は0.2sq相当。
- 「ケーブルの太さと許容電流のお話」によると、0.2sqの許容電流は3.5A。
- 「電線の太さ(sqとAWG)と許容電流」によると、0.2sq(AWG24)の許容電流は2.5A。
- 「ケーブルの電流容量」に書かれている数値を見ると、ケーブル束ね本数が6~15のときは減少係数は0.7だから、3.5A×0.7=2.45A、2.5A×0.7=1.75A
1.5A以下だったら連続で流してもイケそうな感じですね。室内灯なしでM車1両なら0.3Aくらいだし、ちっとも危なくないと思います。
そうと分かれば、さっそくカタチにしてみましょう。
ケーブルは十字介在で仕切られたCat6のLANケーブルまたは柔軟性のあるCat6フラットケーブルを使うこととし、「茶・茶白」「緑・緑白」「青・青白」「橙・橙白」というペアで4系統の回路に割り当てることとします。
さっそく、上記のリンク先に書かれていた「LANジャックDIP化キット」なるものを買ってみたけれど…
基板がデカすぎる!! サイズを測ってみると…
基板の幅が38mmか。パワーパック側の出力端子に使うとしても、難しいかも。背面の端子はこんな感じなので、意外と余っているスペースがないのでした。
内部もこんな感じなので、LAN端子を取り付ける場所がありません。
さてさて…どうしようかな。
今の自分の中で絶対条件になりつつある複線間隔28mm(正確には27.75mm)ですが、線路配置はかなり思い通りにできるようになったものの新たな課題として情景・ストラクチュアの表現があります。特に大きな問題は架線柱と高架橋だと思うのですが、それは今はノータッチとして、今回は駅の再現のハナシ。
対向式ホームを使う場合は、跨線橋を設置するときに長さの切り詰め改造が必要になってきます。島式ホームを使うときも、プラットホーム2面以上の場合で橋上駅舎を使うときは駅舎からホームへの階段を改造しなければなりません。
そんな改造を回避する方法として「島式ホームを使うけれど跨線橋的なものは一切使わない駅」を考えます。実はかなり昔のレイアウトでも、
という感じで、東淀川駅の旧駅舎のように地下通路でホームと駅舎をつないでいることにして跨線橋を使わない表現をしたことがあり、この方法のメリットについては認識しています。
そんなわけで、島式ホームから地下を通ってくる駅舎として、フルスクラッチではなく市販の建物を使ってみることにしました。
使うのは「KATO 23-408B タウンショップ1(ブルー)」です。駅舎じゃなくて、店なのです。
「こんなものが駅として使えるの?」という気がしないこともないんですけれど、これがまたイケそうなんですよ。目指す駅舎のイメージは、向日町駅。
どうですか。なかなか近いものがあると思いませんか。駅名標をつけたり、みどりの窓口の表示をつけたりしたら、すぐにでも駅舎として使えそうでしょ。
ちなみにこんな感じで。
置くだけで、駅になってしまうのですー。いやさすがに駅名標は必要かな。
ヨドバシカメラで買うと、「KATO 23-172 島式ホームB(階段つき)」と「KATO 23-171 島式ホームA(階段なし)」は定価が同じにもかかわらず、BのほうがAよりも100円安い(Bが800円、Aが900円)という謎の価格設定もあって財布にも優しいのでした。
向日町駅っぽいということでタウンショップを応用しようと考えたけれど、ホントはこの「KMC004 昭和の駅舎4 国鉄山崎駅」が欲しいのです。
もちろん山崎駅も島式ホーム地下通路系の駅なのです。たぶん使い勝手がいいと思う。そして何といってもこの駅のデザインが美しいのよね。